骨粗しょう症

橈骨(前腕)でDXA(DEXA)法による骨密度を測定できます。
定期的な検査により、骨粗鬆症の診断や 骨密度の経過観察ができます。
検査に痛みは伴いません。

骨密度検査とは?

骨量・骨密度の測定方法のひとつDEXA法(デキサ法)はDual Energy X-ray Absorptiometry(2強度X線吸収測定法)の頭文字の略称で、
★大腿骨 ★腰椎 ★前腕 などに2種類の微量のX線を当て、骨の状態をスキャンし、「骨成分」だけを測定する測定法です。
前腕での測定は、「誤差が少なく」、「放射線の被ばく量も少ない」という特徴があります。

※基本的に非利き腕(利き腕ではない腕)で測定します。

骨粗しょう症とは?

骨に細かいあなができて、折れやすくなる病気です。
骨粗しょう症になると、大腿骨頸部骨折・脊椎(背骨)骨折などが生じやすく、寝たきりになってしまいます。
初期のうちは何の症状もないため、早めの診断と治療が有効なのです。。

骨粗しょう症の原因は?

■生活習慣などによる原因:運動不足・偏食・無理なダイエット(思春期では特に注意が必要)・日光浴不足 アルコールの飲み過ぎ・閉経による女性ホルモン減少など

■病気などによる原因:甲状腺機能亢進症・クッシング症候群・糖尿病・腎不全・高カルシウム尿症・性腺機能低下症・副甲状腺機能亢進症など

骨粗しょう症を予防するには?

まず初めに自分の骨量を知ることが重要です。
骨量は30歳後半までは増量すると言われています。それまでに出来る限り骨量を多くして、その後は骨量を減らさないようにすることが大切です。

■食事 カルシウム(大豆製品・乳製品・魚介類・緑黄野菜・海草など)をできる限り多く摂取する様にします。
■運動 ウォーキング・水泳など本人にあった無理のない運動を、毎日30分~1時間程度続けることが大切です。
■日光浴 日光浴の紫外線は、ビタミンDを造り、カルシウムの吸収を助けてくれます。
※ 日焼けは皮膚には良くないので、夏なら木漏れ日程度で十分効果があります。

骨粗しょう症の治療

■生活指導:栄養・運動・禁煙・アルコールの制限など。
■薬物療法:「骨の破壊を抑える薬」「骨の形成を促す薬」「骨の材料を補う薬」の3種類に分けられます。
骨折の危険性が高い場合は、主に「骨の破壊を抑える薬剤」を使用します。またいくつかの薬を組み合わせて治療することもあります。 骨粗しょう症の薬は、安全でしっかりと効き目が出るように飲み方が決まっています。

骨代謝マーカーについて

骨吸収と骨形成は合わせて骨代謝と呼ばれ、骨代謝がどの程度体の中で行われているのかを知ることは、骨粗鬆症の程度や今後の進行を知る上で非常に大切です。

① 骨密度の低下を予測する。
骨代謝マーカーの上昇と骨密度の低下には負の相関があります。
つまり、マーカーが上昇すると骨密度が低下する可能性があるということができます。
② 骨折の発症リスクを予測する。
骨折予測因子(骨折しやすいかどうか)には、年齢、骨密度、既存骨折の有無、が独立した因子となります。
つまり、年齢が高くなればなるほど骨折しやすくなる、同年齢でも骨密度が低い方は骨折しやすい、と言うことができます。
骨代謝マーカーは特に女性では独立した骨折予測因子となります
つまり、骨代謝マーカーの上昇は、骨折リスクを上げることになります。

治療方針の決定には骨吸収マーカー(骨吸収で中心的な働きをする破骨細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質、もしくは破骨細胞が骨を破壊するときに作り出される物質)の測定が役立ちます。当院ではTRACP-5bを測定し、治療開始後半年以上経過後に再度測定して治療薬の効果を評価します。

骨形成マーカー(骨形成で中心的な働きをする骨芽細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質)としてはBAPを測定し、評価します。

※骨量が減少してしまった方は、ご家庭のバリアフリーなど日常転びやすい所を無くす、家族みんなの協力と本人の自覚による「骨折の予防」が大切です。

治療薬について

骨の破壊を抑える薬

ビスホスホネート剤

特長:骨からカルシウムが溶け出すの(骨吸収)を抑制し、骨密度を増加させ、さらに脊椎や太ももの骨の骨折の発生率を減少させます。腰や背中の痛みを経減するものもあります。現在、骨粗しょう症治療の第一選択薬です。1日1回服用するものと週に1回、4週(1月)に1回服用するものがあります。また、注射剤やゼリー剤もあります。

注意点:副作用として胃腸障害があります。のみ薬は朝食前に服用し、服用後30分もしくは60分は横にならないことや飲食を控えるなど服用する際には注意が必要です。また、ごくまれに顎骨壊死・顎骨骨髓炎を起こしたりすることがあります。歯科治療前には数か月中止が必要です。

 

選択的エストロゲン受容体作働薬(SERM)

特長:骨など、体の特定の部位でのみ「エストロゲン」と似た働きをし、骨吸収を抑制し、骨密度を増加させます。

注意点:副作用として更年期症状を悪化させたり、まれに深部静脈血栓症などが起こることがあります。

 

抗RANKL(ランクル)抗体製剤(プラリア皮下注)

特長:RANKL(ランクル)というたんぱく質(骨からカルシウムが溶け出す[骨吸収]際に働く細胞の活性化に必要)の作用を抑制することで、骨密度を増加させ、骨粗しょう症に伴う骨折を減少させます。6か月に1回皮下注射するお薬です。

注意点:血中のカルシウムが低くなりすぎて、手足のふるえ、筋肉の脱力、けいれん、しびれが起こることがあります。また、ごくまれに顎骨壊死・顎骨骨髓炎を起こしたりすることがあります。

 

カルシトニン剤

(エルカトニン20単位週1回投与)

特長:破骨細胞を抑制し骨量減少を抑えます。また脳内で鎮痛物質に変わるため鎮痛効果があります。

注意点:筋肉注射のため通院治療が必要です。副作用は、顔面紅潮、悪心などが知られています。骨粗鬆症に起因する腰背部痛を有する高代謝回転型骨粗鬆症の症例には,第一に選択される薬剤の一つ

 

骨の形成を促す薬

ヒト副甲状腺ホルモン剤

特長:骨組織は、「破骨細胞」が古くなった骨を溶かし(骨吸収)、そこに「骨芽細胞」が新しい骨を作って修復する(骨形成)というサイクルを繰り返して、骨の構造や強度を保っています。骨形成促進剤は、骨芽細胞の数を増やし骨形成を促進することで、骨の量を増やし骨を強くして、骨折リスクを減らすことができます。

注意点:皮下投与する注射剤です。骨折リスクの高い重症の骨粗しょう症患者さんに適応があります。

 

骨の材料を補う薬

カルシウム剤

特長:食事でのカルシウム摂取不足、乳糖不耐症、胃腸の手術後などに使用。他剤と併用することが多い。注意点:骨折の危険性が高い場合には、カルシウムだけの治療では十分ではありません。副作用として、胃腸障害や便秘が現れることがあります。

 

活性型ビタミンD3剤

特長:腸でのカルシウム吸収を促進させ、骨量低下を抑制し骨折頻度を低下させます。筋力低下を防ぐため、転倒予防効果も注目されています。カルシウム摂取不足、胃腸の手術後などの患者さんに使用されます。注意点:副作用として高カルシウム血症があります。特にカルシウム剤を併用している場合は注意が必要です。

 

ビタミンK2剤

特長:骨の形成を助け骨折を予防します。骨形成が低下している高齢者に適しています。注意点:血液凝固阻止剤のワルファリンとの併用は、ワルファリンの効果を弱めるため、併用しないでください。

「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことを
ロコモ(ロコモティブシンドローム)といいます。
あなたはロコモについて知っていますか?